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9話
地面に叩きつけられた天使に止めをさすように、むつは天使の首もとに剣先を突き付けて、払うように切った。びっと血が飛んで、むつの制服のスカートについた。
「真っ赤になるのも時間の問題かな?」
「かもしれないですね」
首を後ろから切られて、辛うじて皮一枚で繋がってるような状態の天使を見ても、玲子はもう顔色を変えない。
「ある程度したら、追うよ」
「はい。ある程度って…?」
迫ってきている天使が、口をがばっと大きく開けてむつの首を狙うように飛んできていた。むつは右手にしていた、刀を玲子にぽんっと投げると空いた手をくれてやるかのように、天使の口に突っ込んだ。
「ちょ…先輩っ」
刀を受け取った玲子は慌てているが、むつは何が面白いのかにやっと笑った。むつの腕は天使の歯が肉に食い込み、血が流れている。だが、それも長くは続かなかった。ごおっと天使の口から炎が吹き出た。
 




