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9話
折角、可愛らしい顔をしているのにそんな笑い方をしては台無しだったが、少女はそんな事、つゆにも思っていないだろう。
むつは腕に乗せていた烏を持ち上げて、西原の肩に近付けると言わずとも分かるのか、ちょんっと乗り移った。そして、むつはしっかりと少女の方を向いた。
「元は1つだから」
少女らしからぬ、低い声だった。その声を聞いて、西原は、はっとした。最初に教会の前で会った少女だと気付いたのだ。
「元は1つ…分裂したんだ?だから、ダリィとは正反対な性格なんだね?ダリィは引っ込み思案でおどおどしてるのに、あたなは堂々としている」
「元は1つだったのに、今では対立してるって事ですか?でも、何でです?」
玲子が言うと、少女はくっくっくっくっくと肩を揺らして笑っている。何が可笑しいのか、誰にも分からなかった。




