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8話
かちゃんっと音がして、内側から鍵が開いた。むつがドアを開けて、中に入った。
「むつってさ、いつでも泥棒やれるよね」
「やらないから。それより、しーっ」
むつが人差し指を唇に当てて、言うと菜々もさすがに軽口を言っている場合じゃないと分かると、口を引き結んだ。
「ダリィ、案内して」
むつに手を引かれて、ダリィがびくびくしながら先頭を歩き出した。外で何度か見ている時には、堂々として冷たく、人を見下しているような雰囲気があったが、実際はかなり怖がりなんだなとむつは感じていた。話す時も、おどおどとしていて、見た目の綺麗さとのギャップがあった。
「…かなり、暴れてるみたいね」
薄い絨毯のしいてある階段は、靴をはいていても音を吸収してくれるから、周囲のかすかな音も耳に届く。どこからか、ばさばさと羽根の音ときゃあきゃあと笑う声が聞こえてくる。
 




