480/718
8話
手を差し伸べたはずの菜々は、今やむつに引っ張られるようにして走っている。玲子も同じくダリィの手を握って、引っ張っている。
「ダリィも、朋枝先生と一緒に体力作りしないといけませんね」
「えっ…何で、そ、そうなるのぉ」
人ではないくせに、体力がすでにないのかダリィもぜぇぜぇ言いながら、玲子に手を引かれて頑張った走っている。
「図書館、見えてきたよ…っと」
むつは走る速度を緩めた。3階建ての建物全てが図書館として使われており、むつは足を踏み入れた事はないが、かなりの量の本がありそうだ。
図書館の前で止まると、菜々とダリィは膝に手をついて、ぜぇぜぇと荒い息を整えている。
「ここに居るのか?」
最後に追い付いてきた西原は、むつの隣に立つと図書館を見上げた。館内はもちろん真っ暗だ。玄関の薄暗い明かりと、避難経路を示す為の緑色の光がぼんやりと見えるだけだ。
「ダリィ曰く、ね」




