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8話
「何か静かね。警察、居るのよね?」
「居るはずなんだけど…そういや、あんたも木戸もどうやって寮から出てきたのよ?まさか…窓から?」
「まさ、か…玄関からよ」
「誰にも見られてませんよ。人は居ましたが、こっちに気を取られてる様子ありませんでしたし」
ダッシュしてるわけでもないのに、菜々はすでに息があがっている。ダリィを引っ張って追い付いてきた玲子が、菜々の代わりに答えた。さすがに現役で運動しているからか、余裕そうだ。
「そう。置いてきた札、身に付けてる?」
「もっ、てるわよ…」
「お守りがわりになると思ったので、持って出てきてます」
「そう。それが正解だわ」
「なんっ…」
「菜々、これ片付いたら運動しなね?」
完全に喋れないくらい息があがっている菜々に、むつが哀れむように言うと、菜々は素直に頷いた。




