2話
西原は、むつがこの状況を理解した時にどんな反応をするのかと、少し不安になってきていた。
「ってか…え?」
むつは西原の顔を見て、驚いたような顔をしている。何度もまばたきをして、それからそっと布団の中を見ていた。
「…もしかして、ですか?」
「泊まったんだよ。お前、自分から誘ってきたの覚えてないのか?」
もぞもぞと布団を抱くようにして起き上がったむつは、額を押さえていた。長い髪の毛が白い背中にかかっている。
「2件目出た所までは覚えてるけど…した?ごめん…全然記憶にない。本当、ごめん」
意外としおらしい反応に西原は少し驚いた。白い首もとから鎖骨、胸がかすかに見えていて、西原はまた目のやりばに困って少しだけ布団を上に持ち上げさせた。
「本当にごめん…こんな風に迷惑かけるつもりじゃなかったんだけど…断ってくれて良かったのに」
「断る理由なかったからな」
「けど、付き合ってもないのにそーゆー事するのは…それに、あたしから別れたいって言ってこんな都合よくって言うのは…本当にごめんね」
今にも泣きそうなむつを見て、西原は首を傾げた。ゆっくり頭を撫でながら、西原はむつが勘違いしている事に気付いた。




