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8話
菜々がむつの制服を掴んで、むつを心配そうに見ている。西原はよっこらしょと立ち上がると、玲子の方に向かった。
「菜々ちゃんから何か聞いてる?」
「はぁ…あの、先輩にお子さんがって」
「やっぱりな。うん、そんな勘違いだと思ったけど…」
「あ、やっぱり勘違いなんですね。なら、お茶でも入れます?ポットとお水とって持ってきたんです…」
玲子はスポーツバッグを床に下ろすと、中から電気ポットに多きな水筒、紙カップ、ティーパックなんかを取り出した。
「凄いな…それなら、コーヒーにしてくれないかな?コーヒーにはリラックス作用があるからさ」
「はい。でも、あるんですか?」
「うん。むつが襲われた時に見付かったらまずいと思って取って隠しといたから」
西原はテーブルの下からバッグを出して、インスタントコーヒーの瓶とチョコレートと大福を出した。
「菓子は菜々ちゃんだろ?これ」
「…みたいです」
何となく玲子は恥ずかしくなり、うつ向いた。西原は、それには気付かずにテーブルにチョコレートと大福を置いた。菜々はまだ勘違いをしているようで、むつに詰め寄っていた。




