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8話
「天使は敵って認識で良いのかしら」
「じゃないか?傷害でばんばん手錠かけてやりたい気分だな」
「…手錠足りる?」
「足りない」
むつと西原は、少しだけ笑うと教会の方を睨んだ。ドアを閉めたくらいで、大人しくなるとは思えない。ましてや、ノアが気付く前から絵を抜け出していたとなれば、どこからか外に出る道を彼らは知っているはずだ。
どこから来るのだろうと、むつと西原が前方と左右に気を付けていると、背後でがさがさと木の葉を揺らす音に振り向いた。聞き慣れた、ばさばさという羽音と微かにする酸っぱいような夏場の放置した排水溝のような、嫌な臭いが鼻をついた。
「挟まれた…」
「ねっ。どっち行く?黒か白か」
「くっ…黒でも良いか?」
「ま、しゃーなしな」
並んで立っていたが、むつは教会の方を向いて、西原と背中合わせになった。




