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8話
むつは、紅茶を飲み干し菓子をぼりぼりと食べるとさて、と立ち上がった。
「脱走の時間?」
「うん。まだ早いかな?」
菜々は携帯で時間を確認したが、何時なら脱走するのに適しているのかは分からなかった。職員も生徒もすでに寮に戻っているのか、外から声は聞こえない。たまに、警戒中の警官が通るのか足音が聞こえるだけだった。
「昨日の今日だよ?行くの?」
「行くよ。どのみち制服も日本刀も植物園でしょ?取ってこないとね。菜々と木戸はどうする?」
「あたしは待ってるわよ。生徒の看病って言ってあるから大丈夫だし」
「なら、わたしも待ってます」
むつは菜々と玲子の顔を見た。
「…分かった。先輩と話出来たらしたいし早めに戻ってくるよ」




