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8話
むつがドアを開けると、玲子と2人の生徒が立っていた。リボンの色からして、玲子の同級生なのだろう。2人のうち1人には、むつも見覚えがあった。
「疲れてる所をごめんね、どうぞ」
にっこりと笑みを浮かべ、部屋に入るようにドアを押さえたまま端に避けると玲子が先に立って入った。
「あっ…」
部屋にまさか、菜々が居るとは思っていなかったのだろう。生徒たちは、驚いたような顔をして、それからスカートの端を持つとぺこりと頭を下げた。
「こんばんは。ごめんなさいね、もうゆっくりしてた頃だったでしょう?」
「嫌じゃなかったら、ベッドに座ってくれる?今、紅茶いれてくるから」
「あ、わたしがやりますから」
玲子がやると言ったが、むつは良いからと玲子を押すようにしてベッドに座らせた。そして、沸かしておいた湯で全員分の紅茶を入れ直した。
むつが紅茶をいれてる間に、菜々は生徒たちにスナック菓子をすすめていた。持ち込む事も禁止されてるはずの菓子をすすめる教師。これで良いのだろうかと、むつは少し疑問に思っていた。




