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2話
「といちゃーん、ミカン酒ロックと芋お湯」
「はいはーい」
むつが追加で注文するとすぐに戸井が、持ってきてくれた。西原はお湯割りの芋焼酎をちびちびと呑んでいる。
「何かさ…シスターが死んで、生徒が行方不明で、その不安の中でたまたま逆十字架があって、悪魔がどうのって思えたら納得いくから、そう思い込んでるんじゃねぇかなって思ったりするんだけど…むつ的に悪魔っているの思うか?」
冷たくなってる軟骨の唐揚げをごりごりと噛みながら、むつはうーんと唸った。西原が言ってる事はとてもよく分かる。何かのせいにしたら、気持ち的に落ち着けるからそう思い込んでるんじゃないかと。
「居てもおかしくはないんじゃない?だって、ほら一緒に色々な物見てるわけだし?」
「まぁ…そうだな。悪魔かぁ…やぱ、山羊みたいな角あったりするのか?」
「さぁ?見た事ないから分かんない」
ミカンの果肉をグラスから拾ってむつは口に入れながら、西原の方をちらっと見た。
「ま、宗教的な物だよ。創造された物よね」
すっかり冷えた手羽餃子を食べながら、むつはあっという間にミカン酒を呑み干した。




