2話
少し、しょげた様子の西原を見てむつはジョッキを持って立ち上がると西原の隣に座った。そして、ぐりぐりと頭を撫でた。
「とし君が役立たずじゃないでしょ?ってか、昔から菜々はとし君にキツいよね。仲悪いって言うかさ」
「まぁ…な、それはまぁ…仕方ない。それより、お前いつまで人の頭触ってんだよ」
「久し振りに触ると気持ちいいね」
短く切っているが、少し猫っ毛な西原の髪は意外と柔らかい。むつは指で摘まみながら、くすくすと笑っている。
「それより…どう調べるんだ?」
「さぁ?それは菜々がパパさんと相談してくるって言ってたよ」
髪の毛を触るのも飽きたのか、むつはおしぼりで手をふくとキュウリをつまんだ。ぽりぽりと噛みながら、むつは首を傾げた。
「とりあえず、ちょっと話聞けて良かったわ。警察でも分からない事があるなら…何とかなるかな」
「そんなもんか?結局、何にも役に立てた気がしないけど」
「そんなもんでしょ。ま、あたしが何か掴めたらちゃんと報告するからさ」
むつはビールを呑み干すと、ジョッキを置いてアスパラと小海老のサラダを皿に取った。ついでに西原の皿にも取りわけてやった。




