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7話
西原が仕事にかかりっきりになると分かった冬四郎は、明日の朝に服なんかを持ってくると言い、山上と一緒に帰っていった。
菜々とむつは散らかったベッドの上を片付けると、電気を暗くしてようやく横になった。もうあまり寝ていられる時間はないが、とりあえずは横になって休む事にしたのだ。
「ね、むつ…何で、あたしは屋上のドアの前で寝てたの?むつもよく、あたしがあそこに居るの分かったよね」
「えー?分かんないよ、そんなの。とりあえず、先輩は菜々に案内されてプールまで来れたのに、菜々が居ないってなってたから…菜々ってさ運動音痴なのに、先輩の足に追い付くはずないからさ。居るなら、校舎だと思ったんだよね」
「普通にバカにしてる?」
「まぁまぁ…菜々こそ、あそこで何があったの?誰かに会ったとか、何にも覚えてないの?」
「うーん…誰かに会った気はするけど覚えてないなぁ。喋ったんだよ、たぶん」
菜々の曖昧な記憶はあてにならないと判断したむつは、布団を引き上げて寝る体勢になった。




