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7話
「むつっ‼」
「…何?病院だから静かに」
むつが人差し指を唇に当て、しーっと言うと、西原は少し恥ずかしそうな顔をした。だが、すぐにそんな顔は消えた。余程、何かが起きたのだろう。むつはいぶかしむような顔をした。
「何があったの?」
「シスターの遺体が消えてたそうだ」
「は?てか、シスターが死んだのっていつの話よ?何で今更そんな話が…」
「遺体がなくなってたから親族が引き取っていったと思われてたらしいんだけど、そんな書類もないし…親族は引き取り拒否してたそうなんだ」
西原もまだよく把握出来ていない様子が、ありありと分かる。むつは険しい表情を浮かべている西原を見ていた。西原は、溜め息をつきながらベッドに座った。
「…捜索して。菜々には言わないでね」
「分かってる…もしかしてさ、烏みたいにって事になってるのかな?」
「可能性としてはあり得るから、早く探して。あたしも…」
むつがベッドから下りようとすると西原が止めた。そして、布団を引っ張りあげると肩の辺りまで隠すようにかけた。




