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7話
「え、傷口開いたの?大丈夫?だって…」
傷がかなり深いのを知っているむつが、心配そうな顔を向けると、西原は笑って見せた。
「大丈夫だ。気が付いて良かったよ…これなら、少しくらい話しても大丈夫そうだな」
むつが襲われた時の話になるのだと分かると、山上はベッドから立ち上がった。むつは冬四郎と山上が、帰るつもりなのだと分かると、少し寂しそうな顔をした。西原は、そんなむつの表情に気付くと、少しむっとした。
「ね、社長。1つお願いがある…話を菜々には聞かせたくないから」
「引き留めとけってか?仕方ないな…」
まだ戻ってきてないという事は、菜々は下の自動販売機のあたりに居るはずだ。
「分かったよ。みや、お前ここに居ろ。話が終わったら呼びに来てくれ」
「分かりました」
山上は、何を話そうかなと頭をぼりぼりかきながら出ていった。




