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7話
「ごめんね、心配かけて。大丈夫だよ、肋骨にひびいってあちこち打撲で、足の裏にガラスが刺さってた程度だから」
「いや、十分すぎるだろ…ん、お前なんだその首の痕は?圧迫痕か?」
山上はベッドに座ると、むつの顎に親指を添えるとくいっと上を向かせた。むつの白い首には、小さいが赤く痕がくっきりとついていた。
「うん…首絞められたからね。ねぇ菜々?お願いがあるんだけどさ、聞いてくれる?」
「うん。なぁに?」
「喉乾いちゃった。下の自販機行ってきてくれない?炭酸系が欲しいな」
むつが言うと、山上がポケットから千円札を出して菜々に渡すと、ついでに何本か買ってきてくれと頼んだ。菜々は千円札を受け取ると、部屋から出ていった。
「かなり強く絞められたな」
「下手したら死んでたかもしれないな」
冬四郎と山上は、むつの首を見ながらそう言うと、むつも頷いた。あの時、天使はむつを殺す勢いだった。




