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7話
病室は個室で、殺風景ではあるが暗い雰囲気はなく、安いビジネスホテルのようだった。菜々は簡易ベッドを用意して貰った事に礼を言い、あとは眠っているむつを側で見ていた。
呼吸器なんかがつけられてるわけでもなく、むつはすやすやと眠っている。藤原の言う通り、ただの疲労なのかもしれない。
菜々は椅子に座り、むつの額にかかっている長い髪を横に流してやり、つるっとした額を撫でた。時折、夢でも見てるのかむつの睫毛がふるっと揺れる。
する事もなく、むつをぼんやりと見ていると遠慮がちにドアをノックする音がした。菜々は、西原が来たのかと思いドアを開けた。
「あっ…」
「こんばんは。妹がご迷惑をおかけしているようで…菜々ちゃん。大きくなったねぇ」
驚いている菜々の顔を見ながら、柔和な笑みを浮かべて、立っていたのは冬四郎だった。その後ろには、無精髭の男も居る。菜々は、端に避け2人を部屋に入れた。




