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7話
「何でだ?いや、詳しく話を聞きたいけどその前にここじゃダメだろ?手当てもしないと…それに風邪ひいちまうしな」
「でも、どこに?」
「職員用の寮とか空き部屋ないか?そこで…警察の監視はつく事になると思うけどな。むつ、移動しよう?良いな?」
嫌だとは言わせないような西原の口調に、むつは頷いた。だが、その前にとテーブルの上に置いてあるタバコの箱と灰皿を手にした。
「吸わせて。ここまで来たけど、いつの間にか眠ってたみたいだからさ」
「…たぶん、それ気絶だろ」
西原にそう言われて、むつはふふっと笑った。1本取り出して口にくわえると、今度は火をつけてゆっくりと吸い始めた。
「タバコ吸う元気あるなら大丈夫ね」
「まぁね」
だが、むつはソファーから頭を上げようとはせずに手にした灰皿にタバコを置くと、再び口に持っていく事はせずに、ずるずると崩れるようにして西原の肩に頭を乗せた。




