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7話
「分かってる。だから落ち着け、な?」
「む、矛盾してるわよ‼むつが…」
「いいから、むつが隠れそうな所なら俺たちが知ってるだろ?むつが姿を自分からくらましたなら、な」
「…えぇ、一ヶ所だけしか分からないけど」
西原は頷いた。おそらく菜々も西原もむつが、どこに居るのかは検討がついていて、同じ場所を思い付いているはずだ。
「たぶん、その一ヶ所だ」
「行こう‼…けど調書は?」
「後回しだ」
菜々を立たせると、西原はひょこひょこと足を引きずるように菜々と一緒に職員用の寮から出た。
途中、何名かの捜査員に出くわしたが西原が菜々の事をむつと1番親しかった教員だと言い、捜索に協力して貰っているのだと説明をした。嘘はついていないから、するすると言葉は出るし菜々も演技抜きでむつを心配していた。それは、教員だからではなく、友人だからだったが、それが分かるのは西原だけだった。




