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7話
すくい上げるように、下から飛び込んできた天使は再びむつの首を掴んだ。そして、上昇した。また首を掴まれたむつは、苦しげに声を上げた。頭にもろに炎を受けた天使も、もう笑うような余裕はないのか、怒ったような表情をしていた。
力任せに壁に叩きつけられたむつは、ぐっと息をつまらせた。首を片手で掴み、片手でむつの頭を掴んだ天使は何度もむつの頭を壁に打ち付けた。ごんっごんっと何度も打ち付けられたむつは、意識も朦朧としていた。
だが、どんどんっとドアを叩く音が聞こえ、薄れつつあった意識が戻ってきた。さすがに大きな音がしている事を不審に思った生徒が、寮監督の教師を呼んできたのだろう。外から宮前さん、と呼ぶ声が聞こえてくる。
むつは口を開けて、何とか声を出そうとしたが口の中が乾いているのか声が出ない。




