2話
「そうか?」
「で、菜々の所での事だけど。失血死で注射痕って話だけど…血はどこ行ったの?」
「それは見つかってないんだよ。学園内の水回りとかも調べたけど、血液反応出なかったし…ってなると抜いたやつが持ち去ったのかな、って思うけど」
むつはジョッキを傾けて、ちびちびとビールを呑んでいた。自分でも酔うのが早そうだと思っているのかもしれない。
「他殺だとしたらさ…防御痕とか争った形跡ないしさ、悩むんだよな。血を抜いたってなると、何か機械ないと無理だろ?けど、そんなのあの学園に運び入れるのは一苦労だしさ」
「…点滴の逆みたいなのは?空気を抜いた袋をつないで針刺してみたいなさ」
「あー献血みたいな発想か?あり得そうだけど、それなら針の痕が2つあったのは何でだろうな」
「2つ?それ初耳」
湯引きした鶏皮をポン酢で合えた物をつまみながら、むつが首を傾げた。
「あぁ、言ってない。針の痕は2つ…ここら辺に」
西原はシャツの袖をめくり上げて、関節の辺りの血管を指でとんとんと叩いた。むつは、手を伸ばして西原のくっきりと浮いてる血管をぷにぷにと触った。そして、少し笑った。
「針入れやすそうな血管ね」
「よく言われる。まぁそんなわけで、自殺とも殺人とも判断しかねてるんだ。結局の所、方法もはっきりしないし使われた物の発見も出来なかったし、血も見つからないし」




