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7話
首を絞められたまま、ぐいっと持ち上げられるとむつはさらに苦しげに呻いた。苦しさと痛みで、目尻に涙が浮かんだが、それを拭う余裕などない。むつが苦しめば苦しむほど、天使の笑顔は輝くようだった。
「なん、なんだよっ…」
むつは右手を上げて、天使の顔を掴むと精一杯の力をこめた。めりめりと嫌な音がするが、ひるむ様子はない。
「くそったれっ‼」
ぼっと右手から炎を生まれて、天使の顔を包んだ。ぢりぢりと綺麗だった金髪を焦がすと、天使は慌てたのか手を放した。床に落ちたむつは、首を擦りながら荒く呼吸をした。
きゃあきゃあと悲鳴じみた声をあげながら、火を消そうと暴れていた天使だったが、むつがすぐに動けないと分かったのか、焦げ臭いにおいをさせながらむつに向かってきた。




