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7話
ふわっふわっと優雅にゆっくりと飛んでいた天使だったが、壁を蹴ってさらに勢いをつけると、今度は手を伸ばす事もせずに大きく口を開けて向かってきた。むつは机の上のスタンドライトを掴んで、天使を殴ろうとしたが大きく開いた口で、ばきっと噛み砕いて更にそのままむつの首を狙ってきた。上体を反らすようにして避けたものの、天使に肩を掴まれ易々と持ち上げられると投げられた。
「…っう‼」
ごんっと頭を打ち、床に倒れたむつは起き上がるのが精一杯で次の襲撃に備える事が出来なかった。すぐ目の前にやつわてきた天使は、小さな手でむつの首をぎゅううっと絞めた。
「くっ…うぅっ」
非力そうな小さな手とは思えない程の力だった。引き剥がそうにも、なかなか上手くいかない。焦るほどに息が苦しくなる。むつが、顔をしかめて抵抗しているにも関わらず、天使は明るい笑みを浮かべていた。今のむつには、その笑みが可愛いとは思えなかった。




