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7話
西原か菜々から連絡があるかもと、むつは携帯を気にしていたが連絡はない。女子生徒の搬送も済んでるのか、外は静かなようだ。
夜風は冷えるからと窓を閉めようと、立ち上がったむつは、いつの間にか窓枠に肘をついて、にこにこ笑いながらいる天使に気付いた。気配も音も全くしなかった気がする。
普通なら夜中に窓から、こちらを見ている天使が居れば驚く所だが、何度か見ているむつはそうでもなかった。驚きはしたが、それよりもいったい何の用なのかと気になった。むつは勉強机に尻を乗せて座り、無邪気な笑みを浮かべている天使を部屋に入れるように窓を大きく開けた。
するっと入ってきた天使は、抱っこをせがむように甘えてきた。むつは何の抵抗もなく両手を差し伸べると、天使を抱いた。むつの胸元に顔を埋めていた天使は、くすくすと笑いながらぷっくりとした唇を赤い下でぺろっと舐めた。




