7話
むつは森を通らずに、真っ直ぐに校舎に向かった。屋上の鍵を閉めから出たとしても、菜々が西原に追い付けるはずがないとむつは思っていた。長い付き合いだから分かるが、菜々は体力はあっても運動が苦手なのだ。特に走るのが。だから、西原が一緒に来た相手は菜々ではないはずだ。本物の菜々はまだ校舎の中に居るはずだと、むつは確信していた。
そっと職員用のドアを開けようとすると、鍵はまだ開いていた。むつは廊下が濡れるのは、仕方ないと思い靴のまま廊下に上がると階段を上がっていった。こつこつと足音が、やけに大きく聞こえる気がしたが、むつはそんな事は気にせずに黙々と階段を上がった。
そして、屋上のドアの前に座り込んでいる菜々を見付けると、軽く頬を叩いた。眠っていただけなのか、菜々はうっすらと目を開けた。そして、重たそうな付け睫のついた目で何度も瞬きをして、ぱちっと目を開けた。
「あ、むつ?」
「何してんのよ…心配させないでよ」
「あんたたちが置いてくからじゃない」
むつは菜々の手を取ると立たせた。まじまじと菜々を見て、怪我などがない事を確認すると、ほっと息をついた。
「って、あんたずぶ濡れ?何で?」
「まぁ説明は後でね。それより、行方不明者のうちの1人と思われる子を保護したよ。先輩がついてる…救急車を手配してるはず、場所はプール。行ける?行けるなら、行ってくれる?」




