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7話
「いくら勝手知ったる学園でも夜の森を抜けるとは思えない…足元が危ないのに。で、いつから菜々を見てないの?」
「いつから…プールに着く前くらいかな?烏の鳴き声がして、走って来て…」
「プール直前で菜々が迷子になるはずない…誰に連れられて来たのよ。その子、お願い」
むつは髪の毛をもう1度、上から順に絞っていくと縛って、お団子にすると簪を差した。そして、はぁーっと溜め息をついて、ゆっくりと立ち上がった。
「お前は?」
「菜々を探してくる…1人で平気?」
「あぁ…お前よりは軽いな」
少女を抱き上げた西原は、そうは言ったものの肩が痛むのか顔をしかめていた。
「この場で救急車呼びなよ…他の警官に連絡して、守衛も居るでしょ?」
「そうする。しっかし、何て説明したら良いものか悩むな。むつ、菜々ちゃん見付けたら連絡してくれ」
「うん、行ってくる」
むつはびちゃびちゃと水の入った靴を鳴らして走って、来た道を戻って行った。




