352/718
7話
階段を降り、職員用の出入り口まで来た所で、西原はむつの足音さえも聞こえなくなっている、事に気付いた。そんなに離されたのかと思い、慌ててドアを出ようとして後ろからどんっと背中を押された。
「おっそいわよ‼」
「早くね?菜々ちゃん…そんなに走るの得意だったっけ?」
「ばか。手すりを滑ってきたのよ…たぶん、むつも同じ事したわよ。だから、もう見えないでしょ?」
「お嬢様方は大胆だな」
がちゃがちゃと鍵を閉めた菜々は、鍵をポケットに突っ込んで西原を森の方に連れていこうと、指差した。
「どこ行くんだよ?」
「近道。森を突っ切るの…普通に行ったら遠いじゃないのよ」
「成る程な。菜々ちゃんのが道は詳しいし、ついていくのが賢い選択だな」
「そうして。こっちよ」
靴を履いた菜々は、西原をつれて真っ暗な森の中に躊躇いもなく入っていくと、むつを追って競技用のプールに向かって走った。




