6話
ノアは、こほんと咳払いをした。むつと西原は申し訳なさそうに、ノアの方を向いた。
「僕の考えですけどね、彼は神からの使いじゃないかと思ってます」
突拍子もないノアの言いように、むつと西原のそろって、瞬きを繰り返して、うんうんと頷いた。2人が本気にしていないのが、ありありと分かる。ノアが少し不貞腐れたような顔をした。
「バカにしてるわけじゃありませんよ。牧師様らしいお考えかな、と思います。けど、この子も得体の知れない物に違い有りませんからね」
むつは目を細めて、笑っているような顔をしつつも、膝の上で首を傾げてむつを見ている幼い天使を見つめていた。
「得体が知れないって言えば、あの生徒は?あのあと何処に行ったんだ?」
「僕には分かりません…」
「あたしも分からない。烏と一緒に消えた…それに顔も結局見てないから」
「分からない事が多いな。むつ、何か良い案とかないか?とりあえず、行方不明の生徒を探し出すような方法」
「って言われてもねぇ…地道に足使うしかないんじゃない?刑事さんは足よ足を使うのよ。それにしても、この子何でこんなになついてくるんだろ?」
「お前、何か食いもんでも持ってるんじゃないのか?」
「ないわよ」




