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6話
「分かりません。けど、シスターが亡くなった場には逆十字架があったとか…悪魔崇拝の印ですし、それと関係があるんじゃないかと僕は思ってます」
「菜々も逆十字架があったから悪魔崇拝の事を心配してましたけど…実際に行われているんですか?」
「それは、僕には何とも…気配が分かるとかではありませんから」
むつは天井を見上げながら、うーんと唸っていた。そして、何を思ったのか天井に向かって手を振っている。何も知らない人から見たら、明らかにおかしな人にしな見えないだろう。
「彼はむつさんを気に入ってるんでしょうか?よほど気になるみたいで落ち着きないですね」
むつと西原が天井を見上げていると、もぞもぞとわずかに天使の絵が動いていた。
「来る、かな?」
面白半分にむつが手を差しのべると、もぞもぞと動いていた天使の絵が、もこっと立体化するように膨らんだ。




