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6話
「勿論です。ですが、僕にも全部の説明は出来ませんよ?それでも良ければ」
ようやく本題に入ると分かると、むつも西原も真顔になった。ノアは元々なのか、口元には笑みが浮かんでいた。
「天使の事はですね、僕がここに来た時にはあぁして絵から抜け出していたので、よく分からないんですよ。それも昼夜関係なく動き回るんで、夜まで我慢させて散歩したりご飯あげたりしてたんです」
「ご飯は烏ですか?」
むつは内臓を抜き取られ、腐らせた肉体で飛び回る烏を思い出し、嫌そうな顔をしていた。
「それは、烏があんな風になってからの話ですよ。その前は、普通にパンとかでしたけど…」
ノアは一旦言葉を切ると、天井を見上げた。むつと西原もつられたようにして、天井を見上げると天使の絵がこちらを見ているような気がした。
「烏は何であんな風に?」




