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6話
「何だよ…心配ない」
むつが心配そうにしているのに気付いたのか、西原がへらっと笑った。だが、その顔色は悪く、びっしょりと汗をかいている。肩を押さえていた手も血で真っ赤に染まっていた。
「何とかしますから。はい、奥に洗面所がありますからお湯汲んできてください。ついでに、タンスからタオルも何枚か持ってきて。その天使は…あ、机の上にでも寝かせといてください。ほら、早く早く」
ぐいぐいと背中を押されて、むつは頷くとぱたぱたと奥にあるという洗面所に向かっていった。隣り合っている風呂場から桶を取ると、きゅっきゅっと綺麗に洗い、湯を溜めた。そして、洗面所のすぐ横にタンスを見付けると、上から順番に開けていきタオルを探しだすと、手で掴めるだけ掴んだ。
湯を溜めた桶とタオルを持って部屋に戻ると、男は西原のジャケットを脱がそうとしていた。
「あ、手伝ってください」
むつは近くの机に桶とタオルを置くと、ベッドに片膝をついて乗り西原の上体を持ち上げた。その間に、男がジャケットを脱がし、シャツのボタンを引きちぎって脱がせた。




