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6話
だが、数に任せて烏は突っ込んでくる。むつは、再び札を投げた。烏が少し怯んだ隙に、日本刀を抜いた。しゅっと澄んだ音が聞こえた。飛んでくる烏に対して、下から救い上げるようにして刀を振り上げ真っ二つにして、地面に落とした。むつは剣道をしているわりに、あまり正面で刀を構える事はしない。
むつに真っ二つにされた烏は、それでもまだぱたぱたと羽根を動かしている。むつは植物園に持っていき、ぽっかりと空いた腹に手を突っ込んだ時の事を思いだし、首のあたりを剣先ではね飛ばした。
首をはれるか翼をもぐか、それが1番効果がありそうだとむつは思った。だが、そう細かくは出来ない。どうしても的が1番大きな胴体を狙ってしまう。
刀を片手で振り回しながら、ばっさりと烏を切り伏せていくがキリがないし。むつもだんだんと囲まれてきてしまった。札を出そうにも、投げるまでにどうしても隙と時間が出来てしまう。




