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6話
「むつは、部屋に居るんだな?」
「うん…本当は来たかったけど。警戒してる警官が寮を見上げたりしてたから出れないなと思って」
その寮を見上げていたのが、自分だと気付かれていないと分かった西原は少しほっとした。むつがちゃんと部屋に居てくれるというのも、安心出来る事だった。
「それで良い。ぺら紙に何かあっても、お前が怪我したりしないだろ?」
「うん。偵察向きなんだよね…教会の中見てこようか?」
「いや。ここに一緒に居ろ。その方が男の顔が見れるかもしれない…俺はそいつが現れた時点で声かけたいけどな」
「うろいてる時点で怪しいからね。けど、あたしとしては証拠が欲しいよ」
西原としても証拠が欲しいとは思っている。だが、その前に声をかけて色々と聞き出せた方がこれ以上、何も起こらなくて済むのではないかと思っていた。
「他の2人は見付かった?」
「まだ、だ。やっぱり泳がせるしかないか」
はぁと溜め息をつく西原を人形のぺらっぺらの腕が慰めるように、頬をぺしぺしと叩いた。




