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5話
むつは、どこまで玲子に話すかを悩んだ。警察が来ていた理由を部活の顧問から聞いているなら、他に話せる事はない。
「まぁ…そうね。顧問の言ってた通り、そのことで西原とは少し話せたし、あ、紅茶。西原の分までありがとう。喜んでたよ」
「どういたしまして…先輩?その子の事と先輩の仕事って関係してるんですか?今夜も出ていくつもりですか?」
「いや、今夜は出ないよ。警察が残って警備をしてるし、西原も残ってる。あたしの事は西原しか知らないから、うろついてバレたら困る」
真剣な顔をしてむつが言っても玲子は納得出来ていないのか、むつの顔を見ていた。むつはそれを分かっていて、苦笑いを浮かべて顔を上げた。
「心配なら泊まる?構わないけど…着替えくらいはもっておいで」
「いえ、部屋に戻ります。疑ったりして、すみません」
立ち上がろうとする玲子をむつは止めた。
「戻る前に…お菓子食べきって。あたし…雑炊でお腹かなりぱんぱんなんだけど」




