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5話
「見ずらい写真だな…」
「仕方ないでしょ?夜だし、携帯しかないんだから。フラッシュたきすぎても気付かれるし」
「にしてもお前…天井との距離がありすぎて、全然分からないぞ」
「ですよねぇ…ってより、先輩に見せても意味ないもんね。仕事が違うんだから」
むつは携帯を反して貰うと、颯介のパソコンにでも転送しようかとも思ったが、画像の解析技術があるわけでもない。
「まぁな…で、その食事とやらは?」
「後をつけてない。菜々が一緒だったし、昼間の事を考えると札だけじゃ心許ないから」
西原は、うんうんと頷きコーヒーを飲むと、苦々しい顔になった。むつはそれに気付くと、首を傾げた。
「宮前さんにシャツの弁償よりむつに怪我をさせた事のが怒られたんだよな」
「怪我?あ、頬っぺた切れたの?すっかり忘れてた…あんまし目立たないよ?大丈夫」
むつは、ほらと切れた頬を見せた。すっと筋が通ったように傷が残っている。むつは、あまり気にしていないが、西原は傷跡が残るんじゃないかと気にしてるようだった。




