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5話
むつが指差した先には、竹刀袋に入った、昨日玲子が振り回していた物がそのまま置いてある。玲子は、苦笑いを浮かべると頷いた。
「ありがとうございます…大切にします」
「うん。大切に使ってあげて」
玲子の頭をむつは、撫でた。そんな事をしているうちに、遠くの方から昼休みの終了を告げる予鈴が鳴った。
「授業の時間だね。ちゃんと勉強もしておいで、夜はまた部屋まで食事頼んで良いかな?出来れば米で」
「はいっ、分かりました」
にこにことしながら玲子が言うと、むつも笑みを浮かべて玲子の頭を撫でてやった。
「じゃあ、むつ。あとお願いね」
「はーいよ」
むつは、手を振って菜々と玲子を見送った。
「意外と楽しそうにやってんだな」
「まぁ慣れたら楽しいかな?タバコ吸えないのはツラかったし…昨日もツラかった」




