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5話
むつは、焼きたてのパンで作られたサンドイッチを頬張りながら、西原が持ってきた荷物が気になっていた。
「そんなに気になるか?」
「…そりゃあ。頼んだものあるかね?やけにデカい荷物だし」
むつと西原が話だすと、菜々と玲子もその荷物が気になるのか、ちらちらと見ている。
「そう言えば、むつの愛刀って?」
「愛刀、ですか?」
剣道の話なのかと玲子が少し、興味を持ったように西原の方を向いた。さっきとは違って少女らしい、柔らかな表情だった。
「宮前さんから渡されたよ。渡されたし、色々怒られたし、俺を散々。愛刀ってあっちだよな?2本渡されたけど…」
「どっちか分かんないけど、たぶん先輩の言ってる方じゃないかな?竹刀じゃない方」
残りのサンドイッチを口に入れて、もぐもぐと噛みながらパンくずを紙ナプキンで拭った。むつは早くも西原の持ってきた荷物の中身の確認をしたくて、仕方ない様子だった。




