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5話
むつが自分が通っていた共学の普通の学校の話をしていると、こつこつと足音が聞こえてきた。むつと玲子は菜々かと思ったが、違うようだった。足音は2つ。
ソファーに座って談笑していた、むつと玲子は少しだけ緊張した面持ちになった。むつは、いつでも動けるようにソファーに手をかけていた。がさっがさっと植物を揺らして、顔を出したのは西原と菜々だった。
「何だよ…」
明らかに、むつと玲子がほっとしたような顔をするのを見て、西原は首を傾げていた。
「足音が2つだから誰かと思ってさ…」
「あ、ごめんごめん。まーた先輩と下で会っちゃったもんだからね」
菜々がけらけらと笑った。
「ね、木戸。ほら、菜々は後輩だけど、先輩の西原を置いてきたりしてないでしょ?そういう事なんだよ」
「本当ですね…分かりました。次からそうします」
むつが真面目な顔をして、西原と菜々を指差しながら言うと玲子も、真面目な顔をして頷いていた。
「なぁに?何の話?」
「ふつーの話」
「は?何それ?」




