5話
「そんなわけだからさ、木戸。昼はあたしまた外で取ろうかと思ってるけど…あんたどうするよ?一緒に外出る?」
「えっと…はい。じゃあ、お昼はそうします。なら、先にランチボックスの用意を言っておきます…何が良いですか?」
「ピクルスとアンチョビ嫌い、紅茶はストレートで。あとは木戸に任せるわ」
「分かりました。伝えておきます…先生は?」
「え?あたし?あたしねぇ…じゃあお願いしようかな。たまには外も良いよね…紅茶、ミルクで。あとは木戸さんにお任せするわね」
「はい。では、先に言ってきます」
手早く食事を済ませると、トレイを片付けに行きながら玲子は食堂で料理を担当している者に話をしに行った。
「すっかり妹ね」
「多少だけど…どんな役割をするものなのかも聞いたし、ほらこれがあるから園内に居るうちは、ね」
むつはリボンの結び目の下についている、玲子とお揃いのピアスを指で揺らした。
「木戸さんが妹になるの、たぶん初めてよ?妹志望の子は、ちらほら居たみたいだけど」
「へぇ…学園に馴染めてない系?」
「それはないと思うけど。むつが来る前はクラスの子と一緒に食事したりしてたもの」
「そう…木戸の為にも早く学園から出ていかないといけない気がするなぁ」
むつはそう呟きながら、パンを口に運んだ。




