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よろず屋-百合の衆-  作者: 幹藤 あさ
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1話

五月蝿い少女たちにイライラしながらも、部活を終えた宮前先輩は、防具を外して片付けながら、はぁっと溜め息をついた。そして、モップで床の掃除を始めた。まだ外に居る少女たちに顔が見えないように、頭にかけている手拭いを少し深くかぶっていた。


「やーん、顔見えない」


「けど、雰囲気は分かるわね」


「しゅっとしてる感じね。きっと綺麗な方なんじゃないかしら」


さっさと掃除を終えて、更衣室に入った宮前先輩は、再び大きな溜め息をついた。


「普通、3年生はもう練習しないんですよ?」


更衣室に入ると、練習の相手をしてくれていた2年生で剣道部の部長を勤めている女子生とが、少し咎めるような言い方をした。宮前先輩は、困ったような笑みを浮かべてそれを聞いていた。


「そうね…けど、転入したばっかりだし気分転換に身体を動かしたいからね。無理を聞いて貰って、ごめんね」


「いえ、それは…それに、掃除もわたしたち下級生に任せといて良いんですよ?」


宮前先輩の柔らかな笑みを向けられ、部長は口ごもるように言った。


「そうかもね…けど、あたしも練習で使った場所だからね。そこは、先輩後輩関係ないし。それに、あたしみたいな半端な時期の転入生より、あなたたちの方が学園生活では先輩よ」


宮前先輩はそう言いくすっと笑うと、ようやく手拭いを外した。汗で少し、しっとりとした長い髪の毛がぱさっと落ちてきた。尻まで届く黒髪は、ボリュームもあって艶やかだった。


「ね、また練習来ても良いかな?迷惑なら迷惑って言ってくれて良いし」


「外野は迷惑ですけど。練習相手になら、いつでもなりますよ。先輩、強いですからね」


「本当?ありがとーっ‼良かったぁ部長さんが良い子で。練習する以外に楽しい事ないのよねぇ」


胴着を脱ぎながら、宮前先輩が愚痴ると部長は苦笑いを浮かべた。あんな珍獣みたいな扱いを受けてたら、そりゃそうだろうなと思えたからだ。


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