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1話
「祐斗、報告書出来た?今日中にお願いね」
「えっ…あ、はい」
明日でも良いかなと思っていたが、むつにじろっと睨まれ、祐斗は慌ててパソコンに視線を戻すとキーボードを叩き始めた。
「やけに、スパルタだね」
「明日はちょっと出るかもしれないからさ。今日の仕事は今日中に片付けておきたい…それより、社長は?」
「今日はお馬さん」
颯介が新聞を見せると、むつは苦笑いを浮かべたがチーズケーキを貰ってるからか、文句は言わなかった。その代わりキッチンに戻ると大きめに切ったチーズケーキを3人分持ってきた。すると、祐斗がコーヒーをいれにキッチンに入っていった。
「どーせ、ちょっと残業になるしゆっくりやろ」
スパルタな事を言いつつも、祐斗に付き合って残らなきゃいけない、むつはもうやる気がないのかもしれない。
「むつさん、さっきの人…どういう人なんですか?」
フォークでたっぷりのチーズケーキをすくって口に入れたむつは、首を傾げた。噛む必要がない程、柔らかくふわふわのチーズケーキはあっという間に口の中でとけた。




