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4話
化粧を落とし終えたむつは、シートをぽいっと紙袋に入れた。借り物だからか、スーツ何かはちゃんと畳んである。
「菜々、しばらくスーツ貸してね」
「それは全然良いけど…明日も授業サボる?」
「うん…体調不良って事でね。本当は夜も動きたいんだけど、それは難しいよね?」
むつからの提案に菜々は、腕を組んで唸っていた。菜々は指先を擦り合わせている。さっきまで持っていたチョークの粉が気になっているようだった。
「むつが単独で動くのは危ないんじゃないの?だからって、あたしじゃ役に立たないし」
「木戸もダメ。学生だからね」
「そうよねぇ…」
むつと菜々は、ソファーに座って大欠伸をしている西原を見た。だが、顔を見合わせた2人は揃って、首を横に振った。 西原は2人の息の合った動きを見て、きょとんとしていた。
「ないな…」
「無理すぎるわね」
「何がだよ‼何を考えたんだよ‼」




