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4話
むつは急ぎ足で植物園に向かった。まだ授業中なのが幸いしたのか、生徒とも教師とも出会う事はなかった。
階段をあがって、植物のあいだを抜けて行き菜々に案内して貰った開けたらスペースに出るとテーブルに置いてあった紙袋を手に取った。制服は綺麗に畳んでしまってあった。
菜々がやってくれたんだな、とむつは思った。そして、シャツを脱いで制服を着ると化粧ポーチから、拭き取るタイプのメーク落としを引き抜いた。
ソファーに座って、たっぷりと水分を含んでいるシートを瞼に当てた。そうやって、化粧を落としていると、こつこつと階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
がさっがさっと植物を掻き分けて、西原と菜々が顔を出した。
「あ、菜々。授業お疲れー」
「むつも仕事、お疲れ様。先輩に聞いたけど…脚立から落ちたって?大丈夫なの?」
「うん?うん…まぁ大丈夫だよ」
「あんた、ばか‼怪我したら何て学園側に言うつもりよ。お兄さんにも申し訳が立たないわよ」
かつかつかつ、とヒールを鳴らして近付いてきた菜々にも怒られて、むつはシートで目元を押さえたまま、すみませんと謝った。




