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4話
リボンの色も顔も分からなかったが、肩くらいまでの髪の長さの子だった。だが、そんな子は沢山いるから特定させるのは先ず無理だろう。それに何で、こんな所に来たのかも分からない。野次馬的な好奇心なのだろうか、むつは考えながら正面の方に戻っていった。するとタイミング良く、やけに長い脚立を持った西原が戻ってきた。
「庭師さんが貸してくれたぞ」
西原は得意気に言っているが、それを中に入れるのも登るのも大変そうだった。そして、登るのは確実に自分だよなと思うと、むつは少し後悔していた。
「うん…」
むつは扉を両方開けて、西原を手伝い脚立を中に入れた。そして、むつが見ていた絵の下に置き、脚を開かせた。高さがあるからか、動かすと揺れる。
「押さえといてやるから」
「知ってる?あたし高所恐怖症」
「知ってるけど…俺が行っても仕方ないだろ?これはお前の方の仕事なんだからな」
むつは大きく溜め息をつくと、ジャケットを脱いで西原の肩にかけた。そして、足をかけるとゆっくりと登り始めた。




