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1話
ばさっとした付け睫にピンク系のアイシャドーに縁取られた瞳が、意地悪そうな輝きを持って祐斗を見ている。
祐斗は何て言えば良いのか分からず、ただ黙って笑いながら、助けを求めるようにむつを見た。
「はいはい。だめだめ、食い散らかして片付けないんだから。それに、うちの子を毒牙にかけるわけにはいかないよ」
「食い散らかすとか毒牙とか酷いわ。ね、お姉さんと一緒にお勉強する?手取りナニ取り教えてあげるわ」
「酷くないし、祐斗の手もナニも握らなくて宜しい…下まで送ってくるわ」
むつは颯介と祐斗にそう言うと、菜々の背中を押すようにして出ていった。颯介と祐斗は会釈をして、追い出されるように背中を押されている菜々を見送った。
「何か…ノリがおっさんというか。普通にセクハラっぽい事をばんばん言いますね」
「うん。社長と西原さん混ぜた感じかな?むっちゃんも普通に返してる辺り、昔からあんな感じの人なんだろうね」
「そうですね。キレイな人なのに…喋ると、ちょっと、あれですね」
「あれだね」
颯介と祐斗は笑うと、むつと菜々が使っていたテーブルを片付け始めた。




