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4話
「刑事さんを警戒する時代か…いやねぇ」
むつはそう呟くと、胸元を押さえていた手をどけて、だらんとベンチから垂らした。
「そう言うなよ。で…?」
「何かね、天井辺りがきらきらして光が降り注いでくるように見えてさ…綺麗だなって思ってみてたら…急に叩かれた」
「俺には見えなかったけどな」
叩いた事には触れずに、西原は天井を見上げた。だが、むつが言っているような光りは見えない。見えるのは、天窓から差し込む光だけだった。
「天窓からの太陽光か?」
「あの位置からじゃ天窓は真上にならないよ」
だよなぁと呟きながら、西原は天井を見上げていた。むつが横になっていた位置から見て、真上になるのは絵画だけだったが、それが光を発する事などあり得ない。




