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4話
菜々を待っている間、何となく会話もなく2人はぼんやりとしていた。だが、何を思ったのか、西原はジャケットのポケットを叩いたり、ズボンのポケットを叩いたりしている。
「何してんの?」
「いや、タバコ吸いたいなって思ったんだけど…なかった」
「学園内は禁煙よ」
学園に生徒として潜り込んでいるむつは、そろそろ禁煙生活にも慣れてきたのか、哀れむように笑った。西原は、はーっと溜め息をついた。
「二日酔いは治ったわけ?」
「あ、大丈夫そう。動き回ったからかな?」
「そう。なら良かった」
退屈なのか、西原は携帯を出してカメラを起動させると、横になってるむつを撮った。シャッター音がして、むつが振り向くとさらに何枚か撮った。
「あとで宮前さんにも送っといてやるよ。心配してるみたいだったしな…あとは俺が個人的に楽しむ用」
「楽しむ?」
「そ、見て楽しむ。むつが、ふりっふりの服着る事なんてそうないからな。しかも制服だし」
むつは目を細めて、西原をじっと見ていた。




