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4話
両手の袖を撒くってもらい、髪の毛もポニーテールにして垂れてこないように、ピンでまとめて貰うとむつは烏をひっくり返した。ばさばさと羽をばたつかせたが、それは西原が持っていた手袋をはめて押さえてくれていた。
「生きてるのに手を突っ込むのは流石に気が引けるよ…ごめんね」
むつは烏に謝るように言うと、開いている腹から手を突っ込んで中を触っていく。温かみはなく、冷たくぬるっとしていた。
「むつ先輩、上の喉辺りを触ってみてください」
「んー?」
触ってもいないのに、玲子にそう言われ、むつはちらっと西原を見た。西原もいぶかしむような目をしていた。だが、むつは言われた通りに腹から入れていた手を喉の方に動かした。烏の身体が大きいせいか、腕を半分くらい突っ込む形になった。
げぇげぇと苦しそうに烏が鳴いていたが、むつは止める事はせずに喉の辺りで、指を動かした。何か触れる物はないかと探していた。
「あった…」




