4話
「そうですか…宮前先輩が潜入してる理由は分かりました。それで、そのお隣の男の人は?」
何となく納得しかねている様子ではあったが、玲子はそれ以上は何も言わなかった。その代わり、西原には不快感のこもった視線を向けていた。その視線を苦笑いしながら受け止めている西原は、汚れたジャケットの内ポケットから名刺入れを出した。
「西原と言います」
相手が年下だとしても、西原はきちんと立ち上がり玲子の前まで行くと、両手で名刺を差し出した。
「西原さん…警察?刑事さんです」
「えぇ、わたしはシスターが亡くなった件で捜査をしにこちらに来ていたんです」
「朋枝先生と宮前先輩とはお知り合いなんですね?」
「えぇ…学生の頃からの付き合いです。ですが、私的に捜査ではなく朋枝学園はわたしの署の管轄ですので」
「………」
何か疑ったような玲子にじっと見つめられ、西原は気まずそうに苦笑いを浮かべていた。
「本当だよ。疑わないであげて…それよりさ、宮前って喚ぶの止めてよ。むつで良いから」
「いえ、それは…妹たちに睨まれてしまいます」
「そんなの居ないよ。まぁそれよりさ…本題に入りたいかな?あなたは何?」




