4話
「ま、後で見て回ろっと」
ようやくむつは、ソファーに座った。むつの隣には当然のように西原が座った。菜々は少し、悔しそうな顔をした。だが、むつはそんな2人の無言のやり取りには気付いていない。そんな事よりも、玲子とビニール袋の烏の方に今は意識がいっていた。
「それで、木戸は何を聞きたい?答えるわ」
全員が座ると、むつはすぐさま玲子に声をかけた。少し気まずくなるかもと思ったが、むつの声にはそんな固い物は無かった。開き直ってるかのような、あっけらかんとした感じだった。
「そうですね…先ずは朋枝先生と宮前先輩の関係から、お願いします」
「そうね。それからじゃないと流れが掴めなくなるもんね」
むつは、くすっと笑っている。だが、名前を呼ばれた菜々は、悪戯が見付かった子供のように落ち着きなく視線をさ迷わせている。
「菜々とは幼馴染みなの。だから、あたしも高校生じゃないのよねぇ…まっ、見たら分かると思うけどさ」
さらっと本当の事を言うと、玲子は驚いたように目を見開いていた。うっすらと笑みを浮かべているむつと、困った顔の菜々を見比べていた。
「大人っぽいなとは思ってましたが…本当ですか?あんまり違和感ないですね」
染々とした様子で玲子が言うと、むつはむっとして唇を尽き出して見せた。




